2010年9月26日日曜日

高齢化率23.1%、今後は高齢者を意識したサービス作りが重要!?

先日、総務省は敬老の日を迎えるにあたり、国内の高齢者(65歳以上)の実態について各種データを発表しました(高齢者の人口)。

それによると、 2010年9月15日現在推計で、日本の総人口は1億2,735万人(男性:6202万人、女性:6533万人)となっています。

そのうち、65歳以上の高齢者人口は2944万人で、総人口に占める割合は23.1%となっています。これを前年(2898万人、22.7%)と比較すると、46万人、0.4ポイント増と、人口、割合ともに過去最高を記録しています。

また、年齢階級別にみると、70歳以上人口は2121万人(総人口の16.7%)で、前年と比べ61万人、0.5ポイント増、75歳以上人口は1422万人(同 11.2%)で、53万人、0.5ポイント増、80歳以上人口は826万人(同6.5%)で、38万人、0.3ポイント増となっています。

男女別にみると、男性は1258万人(男性人口の20.3%)、女性は1685万人(女性人口の25.8%)です。

 高齢者人口の推移(総務省統計局調べ)

このデータからわかるように、日本人の約4.3人に1人が高齢者という時代になってきており、今後も高齢者の割合は増える一方です。そうなってくると、インターネットサービスという観点から考えたときに、ますます高齢者を意識したサービス作りというのが切っても切れなくなってくるのではないかなと思います。特にロングテールではなく全ての世代をターゲットとした王道のサービスなどは。

そこでまず気になるのが、高齢者のインターネット利用動向です。

2010年7月6日に同じく総務省が発表した、平成22年(2010年)版の情報通信白書の統計データによると、高齢者のインターネット利用率は平成21年末で36.9%となっており、特に65~69歳代では58.0%と対前年比20.4ポイント増と大幅に増加しているようです。

しかし、インターネット利用率の全体平均は78.0%であり、他の世代に比べるとまだ利用率は低いようです。

高齢者のインターネット利用率

ただ、昨年と比較すると利用率は増加しており、徐々に普及していってはいるようです(単に今までインターネットを利用していた65歳以下の人が年を重ね65歳以上になったからというのもあるでしょうが)。また、今年度に入りiPadなど機能がシンプルで感覚的に操作できるデバイスが市場に出るなど、今後高齢者のインターネット利用率は高齢化も相まって徐々に増加すると考えられます。

そうなると重要なのが高齢者のインターネットの利用用途です。

少しデータは古いですが、gooリサーチとNTTデータ経営研究所が2008年12月16日に発表した「高齢者におけるパソコン・ネットの利用動向に関する調査」によると、60歳以上の高齢者は資産運用を目的とした「オンライン証券等取引」の利用が60歳未満と比較し、高いようです。若年層に比べ資産に余裕があることや、自身の老後への不安が現実味を帯びていることなどが背景にあると考えられます。

また、情報検索・閲覧系は60歳未満ほどではないですが、比較的高齢者の利用用途として高い水準となっていることがわかります。仕事を引退し、いわゆるセカンドライフを営むようになっても情報収集意欲は依然として高いようです。

ブログ、SNSなどのコミュニティ系に関しては、利用用途が60歳未満と比較してもかなり少ないようです。ただ、コミュニケーションの手段として電子メールは98.7%と高く、60歳未満と同水準であるため、今後SNSなどへ転換の可能性がないわけではありません。

 インターネット利用用途

以上、今回は日本の高齢化の現状とインターネットの利用動向についてまとめてみました。その理由としては、高齢化率の高い日本で多くの人に利用されるインターネットサービスを提供していくには、高齢者を意識せざるを得なくなるのではないかと考えたためです。

もちろん今のデジタルネイティブの世代が高齢化すれば劇的にインターネットの利用動向は変わるかもしれませんが、それは20年、30年先の話です。少なくとも現状は、インターネットが普及して十数年と自身の人生に占める割合が少ない高齢者です。

そう考えたとき、年配の世代にも受けるサービスとはどんなものなのか。こういった現状を踏まえ、今後考えていきたいなと思った次第です。

2010年9月23日木曜日

なぜコロプラは流行るのか、位置ゲーの魅力を考える

◇コロプラとは?
コロプラ(正式名称「コロニーな生活☆PLUS」)は、株式会社コロプラが2005年5月から提供している携帯位置情報ゲーム(通称「位置ゲー」)です。

GPS等を利用して現在地の情報を随時登録することで、移動距離に応じた仮想通貨「プラ」がもらえ、蓄えた「プラ」により様々な設備やアイテムを整え、それを使って自分のコロニーを繁栄させていくコロニー運営シミュレーションゲームになります。

コロプラって何?という方は以下の紹介動画をご覧ください。

コロニーな生活☆PLUS

現在は、iモード(docomo)、EZweb(au)、Yahoo!ケータイ(softbank)およびiPhone、androidに対応しており、2010年9月15日時点で、ユーザー数140万人、月間16億PVとヒットサービスになっています。

コロプラが流行る理由
そんな大人気サービスとなっているコロプラですが、なぜ流行るのか?

もちろん、GPS機能付き高機能携帯の普及や、パケット定額制の浸透などによるプラットフォーム側の要因もあるでしょう。しかし、一番大きな理由は、「移動=楽しい」とユーザが思えるようなサービス設計にあると考えられます。

◇理由その1
その大きな特徴として、「1km=1プラ」としてゲーム上の仮想通貨をもらえるようにすることで移動距離に応じたインセンティブを持たせている点です。

これにより、現実の世界では通学や会社通勤など、移動距離が長い人ほど時間がかかり、精神的にも苦痛である行動が、自分のコロニーを発展させるためのプラがもらえるということで、遠距離移動が報われ、移動がちょっと楽になるのです。

こういった普段の生活のちょっと嫌な部分が少しでも楽しくなるようなところがユーザがハマる理由の1つです。実際、使っているユーザも30代を中心とし、40代、20代のサラリーマンが多いようです(http://colopl.co.jp/press/news/2010/0630.html)。

◇理由その2
2つ目の特徴としては、 新しい場所に行くとインセンティブがあるという点です。

そのインセンティブの一つがお土産です。例えば、名古屋近辺で位置登録をすると味噌カツやういろうが購入できたりといった、日本全国その地域ごとに異なったご当地品を購入することができるサービスです。

これにより、普段の通学・通勤による移動とはまた異なった旅行による移動も楽しくなります。あるいは逆に、お土産をコンプリートしたいから新しい場所に出かけるといったこともあるでしょう。なお、お土産にはその地域の特定の施設周辺でしか購入できないものもあるため、コンプリートするために、必然的に他のコロニーとの交流が必須となる場合が多く、ユーザ同士の交流にも一役買っていたりします。

また、お土産には現地で位置登録することでコロプラ内で購入できるご当地品以外にも、コロプラのスポンサーとなっている企業・店舗・施設に行き、実際に買い物を行うことで手に入れることができるスポンサーお土産もあります。 これにより、実際に買ったお土産をサイト内のお土産としても所持することができます。

そして、新しい場所に行くと発生するもう一つのインセンティブが、コロカ(コロプラカード)です。現地で買い物を行った際にコロプラのユーザーであることを申請し、会計時に金額に応じて、対象のお土産がデザインされているトレーディングカードであるコロカをもらい、カードに描かれたシリアルナンバーを入力してコロプラ上でお土産を購入することができるサービスです。

 コロカ

こういったカードというのはコレクション欲が掻き立てられますよね。

このような実店舗と連動したサービスであるスポンサーお土産やコロカにより、ユーザに店舗を訪れてお土産を購入するインセンティブを与えている点は、地域の店舗側にとっても、活性化のきっかけになり、双方がwin-winになる良いサービスと言えます。

特にきっかけづくりという点はとても重要で、地方にいくら素晴らしい特産品や伝統工芸などがあっても、ユーザが知って、行く機会がなければそれまでとなってしまいますからね。

◇結論
以上のように、普段の生活の中で行う通学・通勤や旅行による「移動」にちょっとした楽しさ、インセンティブを盛り込み、リアルと連動させて(バーチャルな)ゲームとして仕立てている点がコロプラが流行る理由と言えます。

移動という行為は誰もが行うことであり、その行為には目的地があり、移動手段があり、ときには宿泊があります。今後もこういった要素要素と関連した地域、交通機関、施設などと連携した企画を提供していくことで、より多くのユーザに利用され、ユーザの普段の生活をちょっと楽しく豊かにしていくのだろうなと思います。

2010年9月21日火曜日

mixiチェック、GREE Social Feedbackから見るソーシャルフィードが普及するためには

2010年9月10日、国内大手SNSであるmixiとGREEが、外部Webサービスの情報をそれぞれのSNS内へ配信・共有できるソーシャルフィード機能を発表しました。

海外では既にFacebookのいいね!(Like)やTwitterのTweet Button(ツイートボタン)といった形で提供されていましたが、今回のmixi・GREEのオープン化により、ついに国内サービスからも提供が始まりました。

mixi「mixiチェック」

 GREE 「Social Feedback」

◇増加するソーシャルフィード
そんな大手SNSがこぞって提供し始めたソーシャルフィードですが、はたして普及するのでしょうか。現時点では、mixiとGREEの発表によると以下のメディアに導入されているようです。

ソーシャルフィード導入メディア

YouTube やヤフーをはじめ多くのユーザを抱えるサイトでソーシャルフィードが導入されているところを見ると、ユーザの目に触れる機会は今後どんどん増えていくと考えられます。また、ソーシャルフィードはmixiやGREEのDeveloper Center で設置方法が公開されており、簡単に設置できるため、上記以外でも個人サイトやブログなど多くのサイトで設置される可能性は高いと言えます。

なぜなら、ソーシャルフィードの設置は無料で、設置コストはほとんどなく、また、設置することでソーシャルフィードを見たSNS上のユーザから設置サイトへの流入が見込めるためです。トラフィックが増えれば広告プラットフォームとしての価値も上がりますし、サイト運営側としてはうれしいですからね。

実際、先に公開されたFacebookの「いいね!(Like)」ボタンは、約35万サイトでプラグインされ、一日あたりは30億回クリックさています(SocialBeat-Facebook serves 3 billion Like buttons a day)。単純計算では年間にすると実に約1兆件です。恐ろしい数ですね。

◇和製ソーシャルフィードの課題
ただ、Facebookでこれだけ使われているのだからmixiチェックやGREE Social Feedbackも普及してユーザに使われるのでは、と考えるにはいくつか懸念事項もあります。

そもそもユーザはソーシャルフィードボタンをなぜ押すのか?と考えたとき、やはり一番大きな理由は、自分が気になって、いいね!と思ったコンテンツを友人・知人とシェアしたいためと考えられます。それが友人・知人とのコミュニケーションのきっかけになるからです。

例えば、旅行サイトで期間限定の北海道のグルメツアーを見つけたとして、「そういえば友達が前北海道行きたがってたな~」ということであれば、ソーシャル フィードで教えてあげることができます。youtubeでおもしろい動画を見つけたとき、友達にも「ぜひ見てみて!」といったことでリコメンドすることもできます。そしてそれをきっかけにちょっとした会話が生まれるかもしれません。

こういった友達とのつながり・コミュニケーションがソーシャルフィードボタンを押す動機と考えると、現在のmixiチェックやGREE Social Feedbackは外部サイトに設置したとき、サイト訪問者から見るとそこに表示されるのはボタンだけであり、Facebookなどと比較すると外部サイトへの連携がまだ少し弱いのかなと感じます。

現状だと、ソーシャルフィードボタンを押したユーザが誰でどれくらいの数いるのかや、ソーシャルフィードボタンを押した友人・知人がどんな感想・意見・コメントを持ったのか、といった情報が外部サイトに表示されないのです。正確には、SNSにログインしないと確認できません。

◇ソーシャルフィードが普及するためには
おそらくユーザがあるコンテンツに対し、ソーシャルフィードボタンを押すかどうかを決める判断材料として、友人・知人がそのコンテンツに対しどういったアクションを起こしているかという情報は極めて有益だと考えられます。もちろん、例えば最近流行りの共同購入などで自分が欲しいクーポンが最低落札数に達していないからソーシャルフィードで友人・知人に勧めたりといった利用シーンでは必ずしもそうではないかもしれませんが、メジャーな利用シーンではきっとそうでしょう。

そう考えると、今後ソーシャルフィードが多くのユーザに使われるためには、外部サイトへの更なるソーシャル情報の組み込みが必要と言えるでしょう。もちろん前提として、ソーシャルフィードを飛ばす先であるSNS上に自分が今知らせたい友人・知人のソーシャルグラフが存在することは前提となってきますので、SNSにとってはアクティブ利用者を増やすことは極めて重要です。

そして、多くのユーザに利用され、ソーシャルフィードが外部サイトからソーシャルグラフを持つプラットフォームであるSNSに入ってくると、今度はプラットフォーム側で情報を整理し、フィルターをかけてユーザに提供することが重要となってくるのでしょう。

そうなってはじめて、最近いろいろ言われるGoogleなどの独自アルゴリズムによる検索の時代から友人・知人などの信頼関係に基づく個別にカスタマイズされたソーシャルな検索の時代へシフトしていくのだろうなと思った次第です。

2010年9月13日月曜日

BloggerにGREEのSocial Feedback「いいね!」を設置する方法

今回は、通常のソーシャル系サービス関連のエントリから外れ、BloggerにGREEのSocial Feedbackを設置する方法についてまとめます。

自身のブログに設置するのにちょっと手間取ったので、ひょっとしたら同じ人がいるのでは?と思い公開した次第です。
 
◇BloggerへのGREE「いいね!」設置手順
まず、Bloggerのダッシュボードから「デザイン⇒HTMLを編集」を選択。ウィジェットのテンプレートの展開チェックします。

テンプレートを編集

次に、テンプレートの html 要素の xmlns 属性で、名前空間を以下のように宣言します。

<html xmlns:og="http://opengraphprotocol.org/schema/"
      xmlns:gr="http://gree.jp/ns">

Bloggerの場合は、

<html expr:dir='data:blog.languageDirection' xmlns='http://www.w3.org/1999/xhtml' xmlns:b='http://www.google.com/2005/gml/b' xmlns:data='http://www.google.com/2005/gml/data' xmlns:expr='http://www.google.com/2005/gml/expr' xmlns:gr='http://gree.jp/ns' xmlns:og='http://opengraphprotocol.org/schema/'>

といった感じでしょうか。

その次に、Social Feedbackを設置するページにmeta要素を記述し、プロパティを設定する必要があります。

GREE Developer Centerの 記述例では、meta 要素が head 要素内に記述してありますが、Bloggerでは <b:includable id='post' var='post'>~</b:includable> 内に記述します。これは投稿記事のタイトルを取得するBloggerのタグ data:post.title を使用するためです。プロパティについては、最低限 og:title のみ記述すればOKです。その他はお好みで。自分の場合は以下のようにしました。

<b:includable id='post' var='post'>
<meta content='data:post.title' property='og:title'/>
<meta content='blog' property='og:type'/>
<meta content='data:post.url' property='og:url'/>
</b:includable>

最後に、同じく <b:includable id='post' var='post'>~</b:includable> 内に、

<iframe allowTransparency='true' expr:src='&quot;http://share.gree.jp/share?url=&quot; + data:post.url + &quot;&amp;type=0&amp;height=20&quot;' frameborder='0' marginheight='0' marginwidth='0' scrolling='no' style='border:none; overflow:hidden; width:70px; height:20px;'/>

のように記述し、Social Feedbackを iframe 要素を用いて設置します。

ポイントとしては、ページごとにSocial Feedbackをポストできるよう、Bloggerのタグ data:post.url を使用することです。そのために、expr: を src 属性の頭に付加します。また、&quot; で src 属性を囲み、& は &amp; に書き換えてエスケープします。

ちなみに、上記コードは「いいね!」の場合です。他のSocial Feedbackを設置したい場合はGREE Developer Centerを参照しながら type=0 の部分を変更してください。

◇最終結果
以上をまとめると、BloggerにGREEのSocial Feedback「いいね!」を設置する方法は次のようになります。

<html expr:dir='data:blog.languageDirection' xmlns='http://www.w3.org/1999/xhtml' xmlns:b='http://www.google.com/2005/gml/b' xmlns:data='http://www.google.com/2005/gml/data' xmlns:expr='http://www.google.com/2005/gml/expr' xmlns:gr='http://gree.jp/ns' xmlns:og='http://opengraphprotocol.org/schema/'>
<b:includable id='post' var='post'>
<!-- GREE いいね!ここから -->
<meta content='data:post.title' property='og:title'/>
<meta content='blog' property='og:type'/>
<meta content='data:post.url' property='og:url'/>
<iframe allowTransparency='true' expr:src='&quot;http://share.gree.jp/share?url=&quot; + data:post.url + &quot;&amp;type=0&amp;height=20&quot;' frameborder='0' marginheight='0' marginwidth='0' scrolling='no' style='border:none; overflow:hidden; width:70px; height:20px;'/>
<!-- GREE いいね!ここまで -->
</b:includable>
</html>

うまくいったでしょうか?

 P.S.
Social Feedbackのプロパティ og:image を設定し、GREEに投稿される際の添付画像を指定しようとしましたがどうもうまくいきません。どなたかうまくいった方はお知らせいただけると幸いです。

収益から見るニコニコ動画

今回はニコニコ動画の収益構造について見ていきます。

データの参照元は、株式会社ドワンゴが2010年8月5日に発表した平成22年9月期第3四半期決算説明資料です。

◇ニコニコ動画の売上とその内訳
ニコニコ動画の売上構成を見てみると、大半をプレミアム会員収入が占めていることがわかります。2010年4-6月(14期3Q)で、売上全体が1.608百万円に対し、1,267百万円と約79%を占めています。次いで広告収入(約14%)、ポイント・その他収入(約4%)、アフィリエイト収入(約3%)となっています。

また費用面では、2010年5月13日に行われたドワンゴ決算説明会において、2010年度第2四半期(2010年1~3月)の黒字化を達成したということが発表されましたが、今期もプレミアム会員の増加などを背景に、好調に黒字額を増やしているようです。

プレミアム会員が増加した背景としては、ニコニコ生放送によるライブストリーミング上での動画共有しながらのリアルタイムなコミュニケーションが支持されたこと、ニコニコ動画モバイルにより携帯電話を利用した手軽な決済手段が確立されたことが挙げられます。

ただ、プレミアム会員収入が増加に伴い黒字額が増えても、営業利益は149百万円(利益率9%) ですので、今後更なる黒字幅の拡大が図られると考えられます。

 ニコニコ動画収支実績2010年第3四半期

 ◇広告収入の動向
次に、ニコニコ動画の収益において、プレミアム会員費に次ぐ売上高となっている広告収入について見てみます。

広告収入は、ここ1年半ほどは上がったり下がったりしてはいますが、平均するとほぼ横ばいと言えそうです。 ただ、業種別の広告出稿シェアを見てみると、ゲームや映像・音楽・出版などが下がっている一方、化粧品・美容・頭髪、ファッション・アクセサリー、食品・飲料が増がしていることがわかります。これは、徐々に増加している女性ユーザ、それも年齢比率で3分の2を占める20代(45.2%)、30代(20.3%)をターゲットとしているものが増えたためと考えられます。
 広告収入内訳

◇ニコニコポイント動向 
次は、ニコニコポイントの動向です。注目すべきは2010年4月30日から開始されたニコニコ遊園地でのポイント利用です。アイテム購入によるポイント利用が、ニコニコチャネル、ニコニ広告、ユーザ生放送、ニコニコ生放送を抜いて最も多くなっています。

このような状況を見ると、改めてソーシャルゲームとアイテム課金の親和性の良さを感じます。アイテムを利用することで、友人・知人をはじめとした他のユーザより優位にゲームを進めたい、時間を節約したいなど、うまくユーザの欲求をくすぐることでポイント消費につなげているのでしょう。今後の伸びにも期待が十分に持てますね。

ニコニコポイント内訳

◇ニコニコチャネル動向
最後に、ニコニコチャネルの動向です。ニコニコチャネルはニコニコ動画上に外部パートナー提供による公式動画チャネルを開設できるサービスですが、これについては順調に増加しているようです。

ニコニコ動画のユーザ数が増えれば、それだけプロモーションプラットフォームとしての価値が上がるため、ニコニコチャネルを利用する外部パートナーも増えます。ここ最近のニコニコ動画会員数の増加がチャネル数の増加に寄与しているのでしょう。
ニコニコチャネル動向

2010年9月10日金曜日

利用シーンから見るニコニコ動画

一つの軸として、ニコニコ動画の利用目的はユーザの立場が個人なのか、企業なのかで大きく分かれると考えられます。

企業側であれば、例えばニコニコチャンネルでPR目的で動画を配信したり、ニコニコ市場でアフィリエイト広告を出稿したり、ニコニコ直販でグッズを売ったりといった商業目的の利用が考えられます。これはこれで利用目的の一つでしょう。

では個人の場合はどうなのか。

今回は、一般ユーザのニコニコ動画の利用目的について、世界最大の動画共有サービスであるyoutubeとも比較しながら考えていきます。

◇ニコニコ動画の利用目的
動画共有サイトと言えば、ニコニコ動画より先にyoutubeが思いつく人も多いのではないでしょうか。言わずと知れた世界最大の動画共有サービスですが、その利用目的を考えると、共通する部分ももちろんありますが、異なった部分も見えてきます。

まずは共通する部分からですが、双方とも「暇つぶし」に利用するユーザが多いのでは、という点です。基本的に動画サイトにはなんとなく訪れて面白そうな動画があったら再生してみる、という人がこれに当たります。そういった人たちが多いために、ニコニコ動画やyoutubeのトップには人気の動画ランキングやおすすめ動画といったリコメンドコンテンツが配置されているのではないでしょうか。

そのほかの利用目的としては、 自分の好きなアーティスト・芸能人の動画を視聴するため、見逃したテレビ番組を視聴するため、テレビや雑誌、webなどで紹介された動画を視聴するため、友人、知人から聞いて気になった動画を視聴するため、音楽PVなど再生してBGM代わりにするため、といった目的が挙げられます。

では、異なる部分はなにか。

それは、ニコニコ動画を利用するユーザのほうがユーザ同士の交流を目的としている点です。言い換えるならば、ニコニコ動画のほうがユーザとのコミュニケーションが活発で、コミュニティが醸成されやすいということです。

その理由としては、ニコニコ動画全体が独特のゆるく、ちっと抜けたサイト設計になっている点や、ユーザーが動画を宣伝できるニコニ広告、特定のユーザ内で動画を視聴できるニコニコミュニティ、ソーシャルゲームが楽しめるニコニコ遊園地などのユーザ同士のコミュニケーションが活性化する仕組みが挙げられます。

しかし、やはり一番大きな理由は「コメント機能」と言えるのではないでしょうか。

この機能により、視聴している動画に対してユーザが感じたことなどをコメントとして投稿することで、他のユーザが視聴したときに動画に被さってコメントが一緒に流れていきます。これにより視聴者は”みんなでみてる感”を体感することができ、他人が感じてること、思ってること、人の感情に触れることができます。

これは、テレビを家族や友達と一緒に見ながらつっこんだり、感想をつぶやいたり、笑ったりすると楽しいと感じる感覚と通じるものがあります。

ニコニコ動画ではこういったコミュニケーションをコメント機能により提供することで、動画に新たな付加価値をつけています。

また、動画を視聴すると分かりますが、このコメントが結構笑えます。たとえよくわかんなかったり、つまらないであろう動画も、そこについたコメントにより面白いコンテンツになったりしており、付加価値の強力さが実感できます。そりゃコメントを付けるユーザが何百、何千、それ以上ニコニコ動画上にはいるわけですから、千差万別で面白いですよね。

また、最近ではニコニコ生放送により、リアルタイムで同時視聴し、コメントを付けることもできるようになっており、ユーザ同士のコミュニケーションがさらに活発になっています。

こういったニコニコ動画独特の機能によるコミュニケーションの活性化効果により、居心地の良さを生み出し、サイトの平均滞在時間増加に結果的につながっているのではと思った次第です。

主要動画サイト平均滞在時間
(ビデオリサーチインタラクティブ 「インターネットオーディエンス調査」より)