2010年8月16日月曜日

【2010年4-6月期IR】GREE、mixi、モバゲーを比較してみる

先日、日本3大SNSと呼ばれるGREE、mixi、モバゲーの2010年4-6月期の決算が出揃いました。

ということで、今回は3大SNSの現状をIR情報をもとに比較してみようと思います。

ちなみにデータの参照元は以下。
【 GREE 】
グリー株式会社:2010年6月期 決算説明会資料(8月13日公開)
【 mixi 】
株式会社ミクシィ:2010年度第1四半期決算説明資料(8月4日公開)
【 モバゲー 】
株式会社ディー・エヌ・エー:平成23年3月期 第1四半期決算説明会資料(7月30日公開) 、月次推移のご報告(平成22年7月度)(8月5日公開)

◇会員数
まずは、会員数から。3社とも2010年7月末時点での数値になります。

【 GREE 】 2,125万人
【 mixi 】 2,102万人
【 モバゲー 】 2,048万人

7月末時点では今まで会員数で日本最大のSNSであったmixiをGREEが抜いています。

参考までに、以下に3大SNSの会員数月次推移を載せておきます。

GREEの会員数月次推移

mixiの会員数月次推移

モバゲーの会員数月次推移

◇ページビュー(PV)
続いてページビュー(PV)について見ていきます。

PVは企業がバナー広告をはじめとしたインターネット広告を掲載するにあたって、重要な指標となります。 「PVが多い=人の目に広告が触れる機会(インプレッション数)が多い」ということなので、当然広告主はPV数の多いサイトに広告を掲載するためです。

もちろん、広告は単純にPVだけではなくそのサイトを訪れるユーザ属性なども考慮されるでしょうから一概に言えるわけではありませんが、重要な指標ではあります。

といことで、それぞれの2010年7月時点でのPV数を見てみると、

【 GREE 】 PC:4億PVモバイル:353.6憶PV
【 mixi 】 PC:52.3億PVモバイル:245.4憶PV
【 モバゲー 】 PC:なしモバイル:740.15億PV

となっています。PCのPV数では圧倒的にmixiですね。GREE、モバゲーはモバイル中心です。モバゲーに関してはモバイルのみですので、当然と言えば当然ですが。

ただ、モバゲーはモバイルPV数がGREEのモバイルPV数の2倍以上と驚異の数値となっています。大人気ソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」が底上げしているのでしょう。

以下は3大SNSのPV数月次推移です。

 GREEのPV数月次推移

mixiのPV数月次推移

モバゲーのPV数月次推移

◇ユーザ属性
次に、各SNSのユーザ属性について見ていきます。GREE、mixについてはPC、モバイル合わせた数値、モバゲーに関してはモバイルの数値となります。

1.男女比
【 GREE 】 男性:52%、女性:48%
【 mixi 】 男性:48.5%、女性:51.5%(モバイル 男性:45.6%、女性54.4%)
【 モバゲー 】 男性:57.8%、女性42.2%

mixiは女性ユーザが若干多く、GREEは男性ユーザが若干多いようです。モバゲーに関しては男性ユーザが多いですね。 

2.年齢構成
【 GREE 】10代:22%、20代:34%、30代以上:44%
【 mixi 】10代:9.7%、20代:51.2%、30代以上:39.1%
【 モバゲー 】10代:26%、20代:42%、30代以上:32%

年齢構成をみると、GREEは30代以上、mixiは20代、モバゲーは10代のユーザがそれぞれ他のSNSと比較して多くなっています。ただ、モバイルを舞台としたソーシャルゲームの普及により、GREEとモバゲーのユーザ属性は徐々に近づいてきているようです。実際、GREE、モバゲー共に年齢構成は30代以上が増加していることがわかります(下図参照)。

 GREEユーザの年齢構成(2010年6月末時点)

mixiユーザの年齢構成(2010年7月31日時点)

モバゲーユーザの年齢構成(2010年6月末時点)

 3.地域属性 
【 GREE 】
  GREEユーザの地域属性(2010年6月末時点)

【 mixi 】
  mixiユーザの年齢構成(2010年7月31日時点)
【 モバゲー 】
公表されていないため不明

モバゲーに関しては地域属性が公表されていないためよくわかりませんが、mixiは42.3%と首都圏にユーザが集中しているのに対し、GREEは首都圏が33%で比較的地方ユーザが多いのが特徴のようです。

◇収益構造
最後に、3社の収益構造について見てみます。

1.2010年4-6月期売上高、営業利益、利益率
【 GREE 】売上高:109.4憶、営業利益:52.9憶、利益率:48.4%
【 mixi 】売上高:40.13憶、営業利益:10.74憶、利益率:26.8%
【 モバゲー 】売上高:241.93憶、営業利益:119.89憶、利益率:49.6%

売上を見るとmixiが他のGREE、モバゲーと比較し、売上・利益率ともに低くなっていることがわかります。GREEはmixiの約2.7倍の売上があり、モバゲーはさらにGREEの約2.2倍の売上となっています。利益率をみると、GREEとモバゲーがほぼ同程度なのに対し、mixiは26.8%と低くなっていることがわかります。

2.2010年4-6月期広告売上、課金売上
【 GREE 】広告売上:19.74憶(18%)、課金売上:89.65億(82%)
【 mixi 】広告売上:32.72億(85%)、課金売上:5.7億(15%)
【 モバゲー 】広告売上:17.87億(9%)、課金売上:183.88億(91%)

次に、SNS事業における広告売上と課金売上の比率をみてみると、GREEが課金売上が82%、モバゲーにいたっては91%と非常に高い数値となっていることがわかります。対して、mixiは広告売上高が3社の中で1番高く、その比率も85%となっていますが、売上で見ると2社と比較し、差を空けられているのは否めません。

こういったデータをみると、ソーシャルゲームはマネタイズもしやすく利益率が高くなる傾向がありますが、ソーシャルグラフによるマネタイズは難しいと言えそうです。モバゲーがこれほどまで課金売上比率を伸ばし売上を上げたのも、内製ソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」によるものが大きいでしょうし。

対して、ゲーム重視ではなくソーシャルグラフを活性化させる点に注力しているmixiはこのままでは苦戦は必至でしょう。ただ、9月10日にmixiが新プラットフォームを発表する(mixi meetup 2010)ようなので、今後の戦略に注目ではありますが。

また、GREEに関しては6月に新たな内製ソーシャルゲーム「モンプラ」を投入したり、同月末にはプラットフォームをオープン化することにより、嗜好の異なる幅広いユーザへアプローチをし、課金収入のさらなる拡充を図っています。また、8月にはGREEのiPhone版(ベータ)を公開するなど、今後利用者が増え、主戦場になるであろうスマートフォンへの展開も始めており、今後の収益拡大の兆しが感じられます。また、海外展開やPCへの戦略も注視したいところです。

モバゲーに関しては、10月からYahoo!モバゲーをスタートさせます。これにより、PCという唯一の弱点がなくなり、また、国内PCサイトとして圧倒的人気を誇るYahoo!上でモバゲーのソーシャルグラフを利用したソーシャルゲームを展開することにより、一気にPCソーシャルゲーム市場を獲りにかかるでしょう。特にPCユーザは可処分所得の多い30代以上のユーザが多いため、今までモバゲーが取りこぼしてきたユーザにも訴求でき、さらなる収益拡大が望めます。また、モバゲーのゲームプラットフォームを、海外で普及しているスマートフォンやiPadなどさまざまな端末にも横展開し、「クロスデバイス、クロスボーダー」で海外戦略も進める算段のようです。今後さらなる成長を求め、さまざまな戦略が実行されることでしょう。

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