実は、Twitterは収益化についてなかなか苦慮しているようで、2006年にサービスが開始されてから4年近く経ちますが、まだ収益化モデルが確立されていません。シンプルな機能が売りなTwitterだけあって、無暗に収益化のための余分な広告、邪魔な情報を盛り込み、ユーザ体験を低下させることは避けたいため、慎重にならざるを得ないのでしょう。
しかし、2010年に入ってからは、徐々に収益化を図るための動きが出てきています。まだまだ、試行錯誤の部分もあるでしょうが、既に多くのユーザ数を抱え、世の中に強い影響力を与えている巨大サービスだけあって、その動きは注視する必要があります。
ということで、今回はTwitterの見えてきた収益モデルと、2006年のサービス開始から得た収益についてレポートします。
◇Twitterの収益 2006年~2008年
Twitterは2006年8月にサービスを開始し、2007年5月に会社が設立されましたが、2006年~2008年の間はTwitter単体から来る収益はほぼなかったようです。
ではどこから運営資金等が出ていたのか。それは、Union Square Ventures、デジタルガレージ、Spark Capital、Bezos Expeditions(アマゾンのジェフ・ベゾズCEOのファンド)等からの出資によるものです。こういったベンチャーキャピタルからの投資により、運営資金等を確保していたのです。
また、この時期はTwitter社としてもソーシャルメディア関連のベンチャー企業によくあるように、当初は売り上げの確保よりも、利用者数の増加を優先した結果、収益についての優先度は低かったとも予想されます。
◇Twitterの収益 2009年
そんなサービス開始から2年が経過した2009年、Twitter社が黒字化達成したということが米BusinessWeekの調べで明らかになりました(Content-Search Deals Make Twitter Profitable)。
この記事によると、 同社は2009年10月、米Googleと米Microsoftと複数年の提携を結んだと発表。「ツイート(つぶやき)」と呼ばれるツイッターの投稿を、Googleの検索サービス及びMicrosoftの検索サービス「Bing」から検索できるようにする契約により、米Googleから約1500万ドル、米Microsoftから約1000万ドルの合計2500万ドルの資金を集めたためです。
そして、その資金により携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)向けに大量のメッセージを配信する費用を削減することができたことが黒字確保につながったようです。
ちなみに、この提携によりTwitter社は、2009年度末時点で合計で1億ドルをはるかに超えるベンチャーキャピタル資金を集め、未公開株式の評価額は約10億ドルとなったようです。
◇Twitterの収益 2010年
2009年は米Googleと米Microsoftの大型契約をはじめとした資金調達により収益を確保したTwitter社ですが、長期的な収益モデルとしては依然不透明なままでした。
無料文化が一般化しているインターネットの世界ではインセンティブなくエンドユーザーへの課金は難しいため、Twitterをマーケティングや販促に利用している企業アカウントへの課金することが可能だ、という話も飛び交ったようですが、Twitter社は商用アカウントへの課金を公式ブログ否定しています。
そんな同社に2010年に入ってからようやく収益化の兆しが見えてきました。
1.Firehose
まず、1つ目は2010年3月1日に一部ベンチャー向けに提供を開始したFirehose(ツイッターが蓄積している全ツイート、ただしダイレクトメッセージを除く)にアクセスできるライセンス契約です。
このFirehoseへのアクセス権利は、実は2009年に契約したGoogle、Microsoftが得たもの(詳細の契約内容はもちろん異なるでしょうが)であり、3月1日に発表された内容はこれを新たに7社のベンチャー企業と結ぶというものでした(Enabling A Rush of Innovation)。
7社はこれにより、従来のTwitterAPIのネックであったAPI実行回数や1アカウントあたりのアクセス可能なツイート数などの制限がなくなり、APIをフルに利用したTwitterアプリの作成等が可能となったわけです。
2.Promoted Tweets
そして、2つ目にリリースされた収益化を睨んだ機能が、2010年4月13日に発表されたPromoted Tweetsです。Promoted Tweetsは、Twitterの一部の検索結果ページの上部に、広告主の宣伝ツイートを表示する広告プログラムで、通常のツイートと同様に企業のフォロワーのタイムラインに表示され、リプライやRTも可能です。
Promoted Tweets
Promoted Tweetsの特徴としては以下。
- Promoted Tweetの表示数は検索結果1ページに対して先頭の1個
- 最下行にスポンサー(Prpmoted by ○○)が表示され、マウスオーバーで黄色になる
- Promoted TweetはCPM(表示回数に対しての課金)ベースの広告
- URLリンクのクリック数、リプライ数、リツイート数など9つの指標をベースにした“resonance(反響)” と呼ばれる効果測定指標により、Promoted Tweetの表示比率が調整される。クリック率が低ければ表示回数が減りるため、利用者の利便性を強く配慮したものとなっている
2010年6月に提供が開始された3つ目の収益化機能が、Promoted Trendsです。Promoted Trendsは、Twitteの画面右側にある"トレンド"に広告主が宣伝したいキーワードを表示するものです。"トレンド"にはTwitter上で人気のあるキーワードが表示され、キーワードをクリックすると、そのキーワードの検索結果が表示され、その検索結果の先頭にPromoted Tweetsとして表示されます。
Promoted Trends
なお、Promoted Tweets、Promoted Trendsは提供当初こそtwitter.comのみの提供でしたが、現在はサードパーティ開発者にAPIで公開するために準備をしているようです(Twitter Preparing for Promoted Tweets in Third-Party Apps)。
4.@EarlyBird
4つ目の収益化機能は、2010年7月14日に開始されたフラッシュマーケティング広告@EarlyBirdです。@earlybirdはTwitterの公式アカウントの1つで、オンラインとオフライン両方の小売業者による特売情報や、イベント、プレビューなどを提供しています。
@EarlyBird
ソーシャルストリームとフラッシュマーケティングを利用したサービスという点で、米Grouponのような地域限定の特売情報(クーポン提供)サイトと似たものと言えそうです(Grouponの詳細はこちら⇒Grouponとは?フラッシュマーケティングを利用したグルーポン系共同購入サービスまとめ)。
収益の点では、@earlybird上での広告ツイートの情報掲載料を払うか、トラフィックや成約に応じて手数料を払うことになっているようです。
なお広告という点に関しては、Twitterのサイドバー右上にもバナーが表示されるようになっていますので、この広告料も収益と言えますね。
なお広告という点に関しては、Twitterのサイドバー右上にもバナーが表示されるようになっていますので、この広告料も収益と言えますね。
Twitterサイドバーのバナー
以上、Twitterの収益モデルについてまとめてみました。
現状Twitterの収益化は2010年になってから始まったものばかりであり、これらの収益がどうなっていくかはまだ測りきれない状況です。おそらく、今後もTwitter社の広告をはじめとする収益化は本格的すると思われます。アカウント数、ツイート数、トラフィックなど急速に拡大しているリアルタイムソーシャルメディアであるTwitterだけに今後の収益モデルについては注視する必要がありそうです。
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