2010年7月16日金曜日

【2010年7月6日発表】MCF統計データから見る2009年モバイルコンテンツ関連市場規模まとめ

一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は、2010年7月6日に2009年度モバイルコンテンツ関連の市場規模調査結果を発表しました(2009年モバイルコンテンツ関連市場規模)。

これによると、2009年のモバイル関連市場の合計は前年比112%1兆5,206億円となっており、モバイルコンテンツ市場が5,525億円、モバイルコマース市場が9,681億円となっています。
調査では、着信音系、ゲーム系、電子書籍をはじめとしたデジタルコンテンツを有料配信する「モバイルコンテンツ市場」、物販系、サービス系、トランザクション系の3 分野で構成された「モバイルコマース市場」と して定義し、両者をあわせて「モバイルコンテンツ関連市場」としています。
 モバイルコンテンツ関連市場規模推移

◇2009年モバイルコンテンツ市場(5,525億円、前年比114%)
注目すべき数値としては以下。
  • アバター/アイテム販売(SNS等)市場 447億円、前年比285%
  • 電子書籍市場 500億円、前年比127%
  • 動画専門市場 112億円、前年比181%
アバター/アイテム販売(SNS 等)市場は、コミュニケーション機能を生かしたソーシャルゲームが中心となって、フリーミアム的な新しいタイプ(基本的に無料で使用でき、アイテム課金により収益を得るタイプ)が広まり、若年層だけでなく可処分所得の多い30 代以上の年齢層にも広がることで急速に拡大してきています。

また、電子書籍市場についてはコミックを中心に好調が続き、今後もiPadや専用端末など多様な電子書籍デバイスなどの登場で電子書籍のラインナップが拡がることが予想され、モバイルにおいても新たな成長モデルの登場が期待されています。

モバイルの動画専門市場は、権利処理コストや配信コストの負担が大きくビジネスモデルの構築が難しい分野になっていましたが、端末の高機能化や定額視聴モデル、生中継等の新たなビジネスモデルの出現によって、動画コンテンツ市場が立ち上がってきました。特に最近は、ニコ生モバイル、モバイル版USTREAMなどのライブビデオ配信が注目され、ユーザも増えてきているように思います。今後も、高性能な3G端末やiPhone、Androidをはじめとするスマートフォンの普及、新たな携帯電話の通信規格であるLTEの開始等によりさらなる成長が見込める市場と言えます。

その他、生活情報市場が対前年比157%(121 億円)、きせかえ市場が155%(99 億円)、装飾メール市場が133%(228 億円)、天気/ニュース市場が124%(97 億円)と引き続き好調に推移しています。

モバイルコンテンツ市場規模推移
*1 天気/ニュース市場=天気情報、時事、金融などのニュース
*2 交通情報市場=ナビゲーション/地図情報、乗換案内などの交通情報
*3 生活情報市場=辞書、学習、健康情報等
*4 アバター/アイテム販売(SNS等)=SNS等での有料コンテンツの販売、アバターはコミュニケーションサイトなどで用いられるキャラクター、アイテムはSNSのゲームサイト等で購入可能な道具類
*5 動画専門市場=動画コンテンツを専門に提供するサイト
*6 芸能・エンタテインメント系市場=芸能プロダクションが提供するアーティスト情報や芸能ニュース、映画などの情報
*7 メディア・情報系市場=テレビ局やラジオ局、出版社などが運営している番組情報、雑誌情報など

◇2009年モバイルコマース市場(9,681億円、前年比111%
モバイルコマース市場は、物販系(衣料品、本、CD、DVD、香水、雑貨、食品、家電などのモバイル通販)、サービス系(興行チケット、旅行チケット、航空チケット、鉄道チケット)、トランザクション系(証券取引手数料、オークション手数料、公営競技手数料)の3分野からなります。

物販系は4,248億円、前年比113%と、リアル店舗での取引が中心であった小売業者もPC と同様にモバイルサイトを開設する動きが活発化してきています。参入事業者の増加による市場拡大により、今後も好調に推移することが予想されます。また最近は、共同購入型クーポンサイトやSNSと連携したコマースサイトの登場などソーシャルコマースが広まってきているように感じます。まだPCサイトがほとんどかと思いますが、今後はモバイルにもソーシャルコマースサイトが徐々に普及していき、物販系市場が拡大していくのではと考えられます。ちなみにソーシャルコマースに関しては、ソーシャルコマースまとめ記事【ループス斉 藤徹】が参考になります。

サービス系に関しては、これまでモバイルの特性を活かしたビジネスニュース、旅行、交通系チケット購入が中心でしたが、近年の傾向としてレジャー目的の個人利用に広がっているようです。

トランザクション系は、証券業界の売上の伸び悩み、手数料の設定が安くなっていることが影響し、伸び率は減少したものの、公営競技でモバイル利用が拡がったこともあり市場規模は拡大傾向にあるようです。
 モバイルコマース市場規模推移

なお今回市場規模には含まれていませんが、この他のモバイルコンテンツ関連の市場分野としては、ピクチャー広告などの純広告と懸賞やノベルティでモバイルを利用した販促・キャンペーンなどを含んだ「モバイル広告・プロモーション市場」、モバイルコンテンツサイト構築、システム運営・管理を中心とした「モバイル・ソリューション市場」があります。

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